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2012年07月06日
再び、谷川岳一ノ倉沢烏帽子岩奥壁凹状岩壁
再び、6月30日に谷川岳一ノ倉沢烏帽子岩凹状岩壁を登りましたので、その記録を紹介します。
6月30日の午前0時頃、一ノ倉沢出合いの駐車場に着いた。駐車スペースは四分の一ほども埋まっていない。これから朝方にかけて埋まって来るのだろう。缶ビールを飲んで、毛布に包まった。
明るくなって車内から辺りを見回すと、駐車場にはすでにびっしりと車が詰まっていた。天気が良いという予報なので、皆さんの出足も快調である。
私たち3人も準備をして5時半ぐらいには出発した。そのとき、谷川岳の岩壁にピンク色の朝陽が映え出した。出合いにいるたくさんのカメラマンは一斉にシャッターを押し続けている。
晴れ。無風。小鳥のさえずりを聞きながら、一ノ倉沢に足を踏み入れた。2週間前には出合いの道路付近まで雪渓があったのに、今はずっと後退している。
ビデオカメラを取り出して、周りの風景や花を撮りながら、歩き始めた。雪渓からテールリッジ末端壁に取り付き、それを登ったところで小休憩。次から次へとクライマーに抜かれていくが、撮影しながらでもあるし、あまり気にしなかった。
一ノ倉沢 | テールリッジ末端壁 | 朝陽を背に浴びる二人 |
凹状岩壁1ピッチ目の取り付きに着くと5パーティぐらいが並んで待っていた。今日はこちらの方が南稜よりもパーティ数が多いようだ。皆さんに聞くと、すべて中央カンテを登られるとのことだ。中央カンテも1ピッチ目は同じだ。
考えてみれば、凹状岩壁の方が落石をする確率が高いので、私たちが最後に回ったということは図らずとも良かったに違いない。
5パーティを待ったとはいえ、ビギナーのノロノロクライマーがいるわけではないので、そんなに待ち時間が長いようには思えなかった。
さて、1ピッチ目。ガスが多少出ているが、出だしをトラバースして草付きを登る。
2ピッチ目。2週間前は雨が降っていたんだなあ、なんて、考えながら登る。
3ピッチ目。前回、出だしでJさんは右寄りに登ったが、取り付き点から一端左にトラバースすると残置ハーケンもあって、あまりランナウトしないで済む。
フォローで出発しようと思ったら、リードのSさんがルベルソを忘れているのに気付いた。
「終了点で、フォローをビレイするのは厄介じゃないかな?」
終了点のSさんのところまで来ると、ヌンチャクにカラビナを1枚追加して、ガルーダというやり方でフォローをビレイしている。これなら、ルベルソもいらないわけだ。私にとっては新しい発見!!
4ピッチ目。このピッチがまさに凹状といわれる所だ。上部からの落石がここに集まってくる。また、このピッチの右側の岩はもろい。要注意だ。
1ピッチ目 | ガルーダ | 4ピッチ目 |
5ピッチ目。凹状を抜けるところ。このピッチももろくて浮石だらけ。ロープを引きずっても石が落ちてしまう。案の定、私の肩に落石が当たった。大したことはなかったけど。かぶり気味の抜け口は少し右の方からまっすぐに登った方が良さそうだ。
6ピッチ目。先の地震で崩壊してすっきりしたところ。細かいところをつないで登っていくので、結構楽しめた。
ところで、4-6ピッチは岩を回り込むようなルートになっているので、セカンドからトップが見えなくなってしまう。こういう場合、「ビレイ解除」などの声が聞こえないので、トップとセカンドのコミュニケーションが取れずに厄介だ。
以前、私は小型のトランシーバーを使ったりしたが、これも重荷になることには間違いない。
今回一緒に登ったお二人のシステムは超クールだ。単に笛を使うのである。
考えてみれば、トップとセカンドに必要なコミュニケーションを最も簡略化すると次の4つしかない。
(1) トップが終了点についてセルフを取り、セカンドにビレイ解除の合図 ・・・ トップが1回笛を吹く
(2) セカンドはトップに対してビレイ解除済みの合図 ・・・ セカンドが1回笛を吹く
(3) トップはセカンドのビレイが完了すると登って来いの合図 ・・・ トップが2回笛を吹く
(4) セカンドは登りますの合図 ・・・ セカンドが2回笛を吹く
ザッツ・オール! 笛は長く吹くと緊急事態が発生したのではないかと周りを心配させるが、お二人の笛の長さはピッと0.3秒ぐらいの長さであり、耳障りではない。他のクライマーにとっては小鳥のさえずりと間違うくらいの感じだ。 ソー・スマート! 感心してしまった。
7ピッチ目。草付きだが、なんとなく嫌らしい。かぶり気味のクラックの前で、ルートを切った。
8ピッチ目。クラックに入る前の部分がランナウトする。ピンが1、2本あっても良さそうだけど・・・。クラックはどのようにでも登れるが、豪快にレイバックで登った。フォローだもん。
5ピッチ目・・・ハングの抜け口 | 6ピッチ目 | 8ピッチ目・・・クラック |
稜線に出て終了。帰りは北稜を下った。最後の雪渓の処理は右側から雪渓に上ってめでたし、めでたし。振り返ると、沈む太陽のライトが谷川岳の稜線から溢れ出ていた。
雪渓への下降 | 雪渓に上る | 稜線からの射影 |
投稿者 sue_originalcv : 2012年07月06日 13:51
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