各祭神を祀る神社の広がり
まず、国立国会図書館デジタルコレクションの『明治神社誌料』の中から「旧県社格」以上の神社を選び出し、祀られている祭神毎に『旧社格』としてマッピングしています。その次に、『延喜式神名帳』を見て、前記『旧社格』でありながら『延喜式神名帳』の中にも名前のある神社を『式内社』としてマッピングしています。
これによって、『延喜式神名帳』がまとめられた10世紀頃から『明治神社誌料』がまとめられた19世紀頃までの約900年間に、各祭神を祀った神社がどのように広がっていったのかを知る目安になると考えました。
- 建御雷神
- 式内社
- 旧社格
- 鹿島神宮、春日大社から全国に広がる。(中臣氏:東国平定時に常陸国一宮・鹿島神宮から発展。)
- 綿津見神
- 式内社
- 旧社格
- 広がりなし。(安曇氏:不弥国を継承。磐井の乱後、追放。)
- 住吉三神
- 式内社
- 旧社格
- 九州から日本海側に展開。東国にはなし。(住吉氏:九州最大勢力だった奴国を継承。大和進出後、葛城氏を名乗る。)
- 宗像三女神
- 式内社
- 旧社格
- 全国に展開するが、日本海側に少ない。式内社で福島県の隠津島神社に注目。(宗像氏:大和東征の主力水軍。大和進出後、和珥氏を名乗る。磐井の乱後、海外貿易を独占。)
- 大国主神等
- 式内社
- 旧社格
- 式内社から全国に展開するが、信濃、九州には少ない。(毛野国が本貫? 後に三輪氏となる)
- 味耜高彦根命
- 式内社
- 旧社格
- 国津神である大国主神と天津神である宗像三女神の長女との間に生まれた神。(日本統一の象徴? 下野国一宮である日光・二荒山神社に祀られる。)
- 経津主神
- 式内社
- 旧社格
- 下總一宮・香取神宮と上野一宮・貫前神社に祀られる。(物部氏:東国平定後、下總から上毛野に移転。)
- 建御名方神
- 式内社
- 旧社格
- 信州一宮・諏訪大社。(東国平定後、蘇我氏指導により、諏訪湖を水源とする天竜川沿いで駒の育成が本格化。)
- 玉依姫命
- 式内社
- 旧社格
- 上總・玉前神社に注目。(蘇我氏に関連? 蘇我氏は大和東征時に、日向より蘇我騎馬軍として参加。)
- 仲哀天皇
- 式内社
- 旧社格
- 西日本を中心に広がる。(日向から来て、洞海湾で神功皇后と結婚)
- 神功皇后
- 式内社
- 旧社格
- 西日本から全国に広がるが、北九州に集中して多い。(加羅国から来て、洞海湾で仲哀天皇と結婚)
- 応神天皇
- 式内社
- 旧社格
- 西日本から全国を圧倒的に制覇。応神天皇以上に祀られている神は存在しない。(大和東征の総大将)