[撮影四方山話] 楽しいイタリア語(Mi piace 表現)
- オリジナル・シー・ヴイ代表の末次です。
大寒から立春までが最も寒いとされるこの時期、風のない陽溜まりに身をおいて、本を読むことがひとつの楽しみです。
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<目次>
1.[撮影四方山話] 楽しいイタリア語(Mi piace 表現)
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品 →「城山南壁 エキスカーション・中央壁ダイレクトルート」
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1.[撮影四方山話] 楽しいイタリア語(Mi piace 表現)
外国語を学んでいて楽しいことのひとつは、日本語にない表現を発見することにあります。Mi piace 表現もそのひとつです。
Mi piace questa macchina.
直訳すると、「私にとって、この車は好まれています。」これを日本語風に意訳すると、「私はこの車が好きです。」
「何故このようなまどろっこしい表現を使うのですか。」と質問したところで答えは返って来ないでしょう。主役であるはずの私が好きだという表現を使わずに、第3者である客体から好まれているという表現を使う思考回路。
私はこの表現を見たときに、ハッと思ったのです。
デカルトの「我思う、ゆえに我あり。」
まどろっこしい表現に慣れている人たちにとって、これは新鮮な驚きだったのではないか、と。
ところが、夏目漱石は『吾輩は猫である』において、主人公の猫が「人間は長い歴史の中でこんな当たり前のことしか思いつかない愚かな生き物だ」と嘲笑したということですが、欧州人と日本人では思考回路が違うのですからちょっと気の毒のようにも思います。
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品
作品名「城山南壁 エキスカーション・中央壁ダイレクトルート」
撮影・編集 Original CV 制作 FTG
作品時間 48分
1月6日、伊豆・城山に出かけた。本年の初登りである。
この近くの函南辺りに、当時若かった源頼朝が幽閉されていたと聞く。
北条政子との出会いもこの辺りであったに違いない。ひょっとしたら、頼朝と政子の逢引の場所が城山だったのではないかと勝手に想像すると、城山のクライミングも自ずと楽しくなるものだ。
さて、城山の南壁は次の静止画の通り大きな1枚岩だ。(静止画の中央部。赤い車のやや右斜め上。)
ここに、古くに開拓され、三ツ星のマークが付く「エキスカーション」というルートがある。このエリアを代表する6ピッチの好ルートだ。
私たちは朝方、このルートに取り付いた。
岩質は凝灰岩であり、ざらざらとした感じだ。ホールドもスタンスも結構あるので簡単かと思いきや、そうでもない。手足のバランスが微妙に難しい。
とはいえ、午前中にどんよりしていた雲が切れてきて、雲間から陽光が差してくると気持ちがよい。また、登るに連れて高度感も増して来るのでロケーションも良くなる。そして、終了点に無事到着。
通常ならば、これで懸垂下降して、めでたしめでたしで終わるのだが、FTGさんとご一緒するとそうならない。斜上バンドまで懸垂下降した後、継続して次の「中央壁ダイレクトルート」に取り付いた。このルートは4ピッチの長さである。
結局、中央壁ダイレクトルートの終了点に着いたのは、山の端から日が沈む頃。つまり、朝方、この南壁に取り付いてから、日が沈むまで一度も土を踏むことなく、ずーーーーーっと壁の中にいたのである。
FTGさんに言わせると、「今回はビデオ撮影で時間がかかったが、クライミングだけなら、もう1ルート追加して3ルート登れそうだ。」
さすが、FTGさん。今年も宜しくお願いします。