[撮影四方山話] 選ばれし子供たちの6年後
- オリジナル・シー・ヴイ代表の末次です。
桜の満開と共に、新年度がスタートします。
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<目次>
1.[撮影四方山話] 選ばれし子供たちの6年後
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品 → 「***高校室内楽部定期演奏会」
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1.[撮影四方山話] 選ばれし子供たちの6年後
昨年、ひとつの予約が入りました。
「6年前に鉄腕アトムで保育園の卒園行事の編集をお願いしました。あの子供達が小学校を卒業します。」
6年前、お世話になった保育園の先生へ遊び心いっぱいのビデオレターを贈ったのでした。
『時は21世紀・・・。選ばれし子供たちが**保育園に集められた・・・。』
そこで卒園児たちがひとりひとりフラッシュのように現れるのです。
あれから6年ですか。早いものです。
そして、今回のご依頼は次のようなものでした。
「謝恩会で流すスライドショーを作成したいと思います。
児童数54名の写真を1人2枚(入学時と現在)に、一人一人のコメントを文字で貼っていただいて、最後に子供たち全員の動画を入れていただきたいと思っています。」
ところが、後になって、コンプレックスで心の傷ついた子がいらっしゃるという理由でコメントを入れないことになりました。写真のスライドショーでは児童54人の入学時と現在の写真108枚以外に何もないということです。
さて、困りました。お世話になった担任の先生へ、心の伝わるスライドショーでなければ・・・。
まずは108枚の写真を1枚1枚じっくりと拝見しました。それぞれの児童が自分で写真を選んだのでしょう。自分の最も輝いている、自分の最も好きな、そして、自分の最も大切な写真がそこにありました。
ホワイトスワンを踊っている爪先立ちのバレリーナ。賞状を手にしている野球の選手。鍵盤を無心に弾いているピアニスト。サッカーボールを巧みに操るストライカー。ディズニーランドでミッキーマウスと一緒に写る少女。谷川岳山頂に立つアルピニスト。将来は日本で初の女性首相になるのではないかと思われるような聡明な少女。・・・。
保育園を卒園したときにはおぼろげだった自分の夢。それが小学校を卒業する頃にはより具体的に自分の行動で夢を現実化しつつある姿に変わっていました。
小学校の6年間で彼らは大きく成長していたのです。
一方、担任の先生の好きな曲も情報として記載されていました。その中にファンキーモンキーベイビーズの「桜」がありました。
・・・ 桜が降る 桜が降る 新しい僕らの上に ・・・
この曲を聞いた瞬間に、スライドショーをどのように仕上げればよいか閃いたのです。
子供たちが成長していく過程を現わしている108枚の写真の上に、桜を降らせて、降らせて、思いっきり降らせて、子供たちを祝福してあげようじゃないか。
写真の前にも、写真の後ろにも、そして、写真を透けてたくさんの桜の花びらが子供たちの顔に、肩に、そして、全身に降ってくるようなスライドショーを作り上げました。
「末次さま
こちらのワガママを全て聞き入れていただき、そして、大変な手間をかけていただき本当に感謝しています。
素晴らしい作品に仕上げていただき本当にありがとうございました。」
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品
作品名 「***高校室内楽部定期演奏会」
制作 関東地方女性
作品時間 75分
クラシック音楽のために建てられたコンサートホールは、県民ホールや市民ホールのような多目的に建てられたホールと違って、音響設計に十分に配慮されている構造のせいか、何かしら格式というか、威厳というか、凛とした雰囲気を持っています。
***高校の顧問やコーチの先生は室内楽部の部員たちのために、定期演奏会の場として、初めて、そのコンサートホールを準備したのです。
当日、たくさんの観客がこのコンサートホールに集まって来ました。そして、開演のブザーが鳴ると、観客は声を潜めて室内楽部の演奏に聞き入ったのです。
合唱団、吹奏楽部、OBOGのサポートも受けながら、無事に予定の全曲の演奏が終わりました。
室内楽部の代表者が最後のあいさつとしてマイクを握りました。
「今年の演奏会はこの***ホールという大きな会場で演奏をする機会を得ることが出来たため、多くの皆さんのご協力をいただきながら演奏をさせていただきました。いかがでしたでしょうか。」
会場から大きな拍手が湧き上がりました。するとこれまで張り詰めていた緊張が切れたのか、声を詰まらせました。その瞬間、威厳のあるコンサートホールの雰囲気がにわかに変わりました。
「この1年間、私たちはこの演奏会に向けて練習に励んで来ました。しかし、この日に到るまでたくさんの事がありました。
このような大きな会場で演奏出来ることが幸せだと思うと同時に、わずか22人の部員で実力的にもこの大きな会場に見合う演奏が出来るかどうか、正直とても不安でした。」
代表者の握っているマイクが震えています。
「演奏会に向けての練習がスタートしているのになかなかうまくいかず、途中何度も逃げ出したくなることもありました。上級生で何度も話し合い、意見がぶつかり合い、これから先どうしようと思ったこともありました。
でも、そんな中、コーチや顧問の先生方は少しでも良い演奏会にしようと構成を練ったり、私たちの演奏を指導して下さいました。
下級生はこんな私たちを信じて付いて来てくれました。
そんな姿を見て、自分たちだけが悩んだり、苦しい思いをしているわけではないことを、いろいろな方に支えられていることに気付き、今、自分たちのやれることは精一杯、室内楽を楽しむことだと前を向いて進んでいこうと思いました。
私たちの部員のほとんどは部活に入ってから弦楽器を初めて手にしたような初心者で、決して演奏の高い子ばかりが集まっているわけではありません。
でも、学年の壁を越え、この22人で作る音楽は何にも負けない私たちならではのハーモニーを奏でていると思います。」
それからお世話になり、ご支援、ご協力をいただいた方々の一人一人のお名前を挙げて感謝の言葉を送りました。
「そして、何より私たちの演奏は聞いて下さるお客様があってこそ初めて出来上がるものです。今日、私は皆で一緒に心の底から室内楽を楽しみ、ひとつの音楽を作る喜びを感じることが出来ました。
お越しいただいたお客様にも私たちの音楽を楽しんでいただけたら幸いです。
本日は本当にありがとうございました。」
見事な謝辞です。いや、これ以上の謝辞はないと思います。
もちろん、演奏の中味も大切ですが、演奏を通して育んだ部員たちの絆こそが、私には眩しく輝いて見えます。