[撮影四方山話] 父の山道具
- オリジナル・シー・ヴイ代表の末次です。
一日にひとつずつ・・・。すべて片付く日が来るまで・・・。
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<目次>
1.[撮影四方山話] 父の山道具
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品 「**家**家御結婚式」
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1.[撮影四方山話] 父の山道具
横浜から北九州の実家に引っ越して来てから、2か月が経とうとしていますが、まだまだ片付いていません。
最初の一月は大きくなり過ぎた庭の木を切りまくり、切り刻んでごみ袋に詰め込んでいたら100袋ぐらいになったでしょうか。二月目は業者さんに来てもらって、錆びてしまった屋根の修理をしているところです。
今のところ、一人で生活していく分には差し障りはありませんが、お客様をお招きしようとするならば客間の整理は不可欠で、山積みになっている布団やベッドの片付け、障子の張替え、エアコンの買い替えなどいつになったら終わるんだと思うものばかり。
それも元をたどって行けば、押入れにそれらを詰め込むほどのスペースがないからで、その押入れに陣取っていたのは15年前に亡くなった父の遺品でした。
母はそれらを捨てきれなかったのでしょう。母は父が愛着していた道具をひとつひとつビニールに包み、段ボール箱の中にびっちりと隙間のないように詰めて入れていました。そして、それらが何箱も出て来たのです。
それらをひとつひとつ荷解きながら捨てていくわけですが、さすがに胸が苦しくなります。父と母の想いがジーンと伝わってくるからです。遺品整理など好きでやる人はひとりもいないと思います。
その心苦しさを味わうよりは、いっそのこと遺品回収業者に任せて、捨ててもらうという方の気持ちは十分によくわかります。
さて、その父の遺品の中で取り分け多かったものが山の道具でした。
山の道具が多いから、父の趣味は山登りかと思われるかもしれませんが、さにあらず。父の膨大に集めた書籍の中に、植村直己、長谷川恒男、小西政継なんて表題につくものは一切ありません。
本棚を飾っているタイトルは名城、古城などというものばかり。特に、父が興味を持っていたのは山城でした。つまり、父は山城の調査をするために山の道具を買っていたのです。
福岡県には大宰府政庁跡の北側の四王寺山(標高410m)に、城壁6.8kmにも及ぶ大野城跡があります。城域は東西約1.5km×南北約3kmにもなり、日本一の大規模な古代山城です。(九州国立博物館の常設展のゲートにその規模の大きさを示す模型が飾られています。)
父はこれを自分の足で踏査して、2万5千分の1の地図に書き込んでいました。
「それじゃあ、あんたはそれを見たんか。わしはこの目で見たんじゃ。」
というのが父の自慢でした。
その父の山道具の遺品の中で、びっくりしたのはコッヘルが10個以上も出て来たことでした。それが微妙に形やサイズが違うんです。
私だったら、コッヘルなんて1個もあれば十分で、もし、ふたつ持つことになったとしたら、古い方は捨てて1個だけにします。
でも、道具に愛着を持っていた父のことだから、その日の調査の内容に合わせて持っていくコッヘルを選んでいたのではないかとも思うのです。
「今日は標高300mでやぶこきが多く、広い場所もないだろうから、この小さなコッヘルを持っていこう。」なんて・・・。
そして、もうひとつ驚いた遺品は、マタギが持っているような尻当てでした。東北の朝日連峰の山奥だったら、それは似合うかもしれませんが、福岡県の街中でそんな恰好で出て来られたんじゃ、クマが出てくるよりも驚かれます。
でも、父のことだから他人の目なんて気にせず、飄々と歩いてたんだろうなあ。
そして、母もそれを想い出してはクスッと笑っていたのではないかとも思うのです。
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品
作品名 「**家**家御結婚式」
制作 東京都男性
時間 134分
世界で最も有名な賞のひとつを受賞された学者先生。世界史の1ページにご自分のお名前が刻まれることになり、超一流であることが証明されたわけです。
一流と言われるだけでも大変なことで、卓越した能力や技術、洗練された感性などをお持ちで、普通の人達から比べれば頭ひとつ抜きん出た存在だと思います。
さらに、超一流というのはそういう一流の人達を束ねた上で、また頭一つ抜きん出ているわけです。超一流と一流の違いは何であるのか、私程度のレベルではわかりません。
しかし、超一流と呼ばれる人達には、言葉にするのが難しいのですが、何かしら共通の雰囲気を持っているように思えるのです。
彼らは世界最先端の最も厳しい競争原理が働く環境に身を置かれているわけですが、その中にあっても性格がギスギスしているところがないように思えます。周りの人達を包み込むような深い慈愛を感じ、何も喋らなくてもそこに存在しているだけでオーラを醸し出しているように思えます。
ここに紹介する映像はその学者先生の20数年前のある結婚披露宴でのスピーチの模様です。そのとき、ご自分が現在のような名声を得るとは露とも思わなかったでしょうが、独特の雰囲気は当時からお持ちだったように思えます。
「・・・・・。
私も常々いろんな分野の研究者と接する機会があります。
生物学をとりましても、動物をやろうか、植物をやろうか、というある種の選択があるわけですが、どうも動物をやる人間の方が血の気が多くてアグレッシブであるというのがひとつの真理のようで、植物をやる人はある意味で大人しいということがあるみたいです。
・・・・・
これからお二人が家庭を築かれていく上で、やはり何と言っても大事なのはお互いの思いやりではないかと思います。
植物で例を引かせていただければ、植物といろんな生物というのは今まで思っていたよりもたくさんいろんなインタラクション、相互作用しているんだということがわかって参りました。
もちろん、その中には寄生、共生と言葉で言われることがあるわけです。共生と言っても一方的に利益だけを得るというのもありますし、宿主になったものは段々疲れ果てて枯れていくのもあるかもしれません。
ですが、植物で今知られて来ていることは、実はそいういう生物の相互作用がないとふたつともうまく成長出来ない、ふたつがカップルしたときにものすごく順調に成長が出来るということがたくさん自然界にあるということがわかって参りました。
・・・・・。」