[失速する市販ビデオカメラ] (2)三つの提言
- オリジナル・シー・ヴイ代表の末次です。
不景気、不景気と煽ると消費者心理も冷え込み、負のスパイラルを伴って本当に不景気が長引いてしまいます。株価の急落があれば、クランチしない限り必ず急騰があると楽観して望む方が夢があるように思います。
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<目次>
1.[失速する市販ビデオカメラ] (2)三つの提言
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品 → 「*** と ***」
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1.[失速する市販ビデオカメラ] (2)三つの提言
時代には趨勢というのものがある。ビデオカメラの小型化と低価格化。それはそれで素晴らしいことであるに違いない。
しかし、私が最近、ビデオカメラ売り場に行って感じるのは虚しさだけだ。
そこに並ぶ商品を手にとったとき、ワクワクする感じがまったくない。最新技術がいっぱいに凝縮されているのだろうが、私にとってはおもちゃのようにしか見えないのだ。
大昔であるが、ソニー製DCR-TRV900を買ったときは本当に嬉しかった。
当時、3CCD搭載でマニュアル機能が充実しており、かつ、VX1000と比べてひとまわり小型化したこの商品は私の目的にぴったりだった。
岩壁を登るクライマーを撮りたいと思っていた私にとっては高性能なビデオカメラが欲しかった。VX1000が素晴らしいことはわかりきっていたが、大き過ぎて山のザックに入りきらない。ところがTRV900はカメラケースに入れてもザックの上蓋にぴったりと入るのだ。
そして、マニュアル機能が充実していた。明るさ、フォーカス、シャッター速度、ホワイトバランス、それに、内蔵NDフィルターまで付いていた。撮影するのが楽しみで、実際に山に行く前日にはケースからビデオカメラを出し右手にとり左手にとり、明日はこの機能を使ってこのように撮ろうとウキウキワクワクしたものだ。
ところが今は・・・。
メーカーサイドにとって、ハイエンドユーザー向けの売れ筋でない商品を作ることは相当な負担かもしれない。でも、ハイエンドユーザー向けの商品を作らないということは、市販ビデオカメラを使って良い映像作品を作ろうと努力しているユーザーの夢を砕いていることにもなっていると思う。
メーカーにはメーカーの言い分があるだろうし、ユーザーにはユーザーの言い分があるだろう。双方が理解し合う形でビデオカメラ業界全体を盛り上げていく方法はないものだろうか。
私は、ハイビジョン編集、ビデオカメライメージの脱却、そして、個人向けビデオ編集業界の擁立という三つの観点から一石を投じてみたい。
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品
作品名「*** と ***」
撮影・編集 Original CV 制作 福岡県女性
作品時間 53分
10月18日午後1時過ぎ。福岡県北九州市にある**神社で、新郎新婦がおごそかに誓詞奏上をしているときだった。携帯電話の呼び出し音が粛々とした場の雰囲気を破った。
怒涛の結婚披露宴はこのときすでにその予兆があったのかもしれない。
結婚披露宴の式場は海の近くだった。外部の光が入ってとても明るく、多くの円卓で埋め尽くされていた。
新郎新婦入場の後、祝辞、乾杯がとり行われた。すぐに新郎新婦は退場した。その間、スピーチをする人の抽選が行われた。式場に来た人はいつ自分が抽選に選ばれるかわからないので、のんびり座っているというわけにはいかないのだ。
式場がカーテンで覆われ、照明が落とされた。そこに登場したのはなんとウェディングドレスをまとった新郎であった。新婦じゃないよ。新郎なんですよ!
ここまできたら、この後に準備されている数々のサプライズも驚かなくなる。
さて、ビデオカメラマンの私は、この珍しい披露宴をビデオカメラに収録していかねばならない。プログラムは予め渡されていたが、あまりの展開にカメラが付いていってない。大きな式場ということもあるが、隅に三脚を取り付けて狙っているだけでは迫力ある映像が撮れないのだ。そこでカメラを
手持ちに切り替えて新郎新婦を追うことにした。
立っていると見る人のじゃまになるので、しゃがんでローアングルで撮ることにした。
ところが、はちまきをしたちびっこカメラマン5-6人が徘徊しているのである。
プロのスチールカメラマンもいらっしゃるが、お互いプロ同士なのでお互いがじゃまにならないようにポジションをゆずりあったりする。
しかし、ちびっこカメラマンは情け容赦がない。こちらが構えているカメラの前に遠慮なく立ちはだかる。つまり、ポジション取りの仁義なきバトルが展開することになった。
次々とサプライズを起こす新郎新婦。そして、彼らを追うちびっこカメラマンとビデオカメラマンの仁義なきバトル。傍から見るとさぞかし滑稽であったろうと思うが撮っている方は必死なのである。
披露宴が終わると、どっと疲れが出たが、無心で撮ったという充実感があった。
新郎新婦が演じたパロディーとも言える結婚披露宴であったが、一方でそれを許容できる親族や友人がいることもすごいことだと思う。
そして、思ったことは「やはり福岡だな」ということだった。
福岡と言えば、博多どんたく、博多祇園、小倉祇園、戸畑ちょうちん山笠と祭りに事欠かない。会社の出世よりも神輿をかつぐことの方が重要という輩がいっぱいいるところだ。
福岡から芸能人をより多く生み出しているのはこういう土壌があるからに違いないと改めて感じたのだった。