[失速する市販ビデオカメラ] (5)写真とビデオの作品の違い
- オリジナル・シー・ヴイ代表の末次です。
朝、ジョギングをしていると、車のボンネットやフロントガラスに白い粉が付着していることに気付きました。今朝、噴火した浅間山の降灰が横浜まで飛んで来ているようです。自然の威力には本当に驚かされます。
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<目次>
1.[失速する市販ビデオカメラ] (5)写真とビデオの作品の違い
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品 → 「(仮題)メッセージ」
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1.[失速する市販ビデオカメラ] (5)写真とビデオの作品の違い
デジタルカメラやビデオカメラを買う方のほとんどはご自分で撮影されたものを第三者に見せたいと思っているのではないだろうか。第三者に喜んでもらえるからこそ、一生懸命に撮影テクニックを磨くのである。逆にそうでなければ、撮影することに対する興味を失ってしまい、長続きはしない。
そこで、第三者に見せることができるものを「作品」という言葉で定義したとしよう。すると、「写真作品」と「ビデオ作品」で撮影したモノについての解釈が大きく異なる。
例えば、デジタルカメラで100枚のショットを撮ったとしよう。その100枚の内、99枚が失敗で1枚が成功したとしても、その1枚の写真は「写真作品」となる。
次にビデオカメラで100カットを撮ったとしよう。それを作品にするには約20-80カットを使い、それを編集して作品にするのだ。写真のように1ショットの撮影に成功したからといって、それが「ビデオ作品」にはならない。ビデオカメラにおいては、撮影した1カットは作品を構成するためのひとつの素材という位置づけなのである。
では、現在、ビデオカメラを持っている方の中で、どのくらいの方が撮影したものを編集して「ビデオ作品」を創っているだろうか。その割合は限りなく小さな数字ではないかと思う。
つまり、ビデオカメラを購入されている方の内、ほとんどの方々が「ビデオ作品」に達っせず、その魅力を知らないままにビデオカメラの興味を失っているのではないかと考えられるのだ。
ビデオカメラユーザーがなかなか増加しない最大の原因は、ここにある。編集ということに対するハードルが高いのである。
また、最近のビデオカメラ製品のラインアップを見てみると、「軽量で簡単に撮影できる」というビギナー向けの製品は山ほどあるが、次の段階の「機能、操作性が充実している」というエキスパート向けの製品はほとんどない。
これはビデオカメラユーザーがビギナーからエキスパートに育っていないことの明らかな証明である。
ーーー 次回につづく ---
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品
作品名「(仮題)メッセージ」
撮影 Original CV 制作 山口県男性
元旦に一枚の年賀状が届いた。裏にはヨットが停泊している船着場の美しい写真が貼ってあり、そして、表には小さな文字でびっちりと文章が書かれていた。
「南トルコのアンタルヤの街は崖の上にあり・・・。この地方にはローマ時代の遺跡が多く、旅行者にとって気が抜けない地方になる。水道橋もあり、円形劇場もあり、エジプトのクレオパトラとローマのアントニウスが逢瀬を楽しんだ町でもある。」
私も3年前、トルコに近いコス島やカリムノス島を訪れているので、なんとなく親近感が湧いた。
そして、それから文章の語調が変わった。
「元気になって、また旅に出たいです。次に帰られたら今の私をビデオに写して下さい。・・・ 終わりの近い人のメッセージのつもりです。」
私はすぐに連絡を取り、撮影に行く旨を伝えた。山口県まで1000km足らず。車で一っ飛びである。
その日は寒い一日であった。お体に差し支えるといけないので、外での撮影は止め、レストランで食事をしながら撮影することにした。食事中の会話はごく普通の世間話である。撮影はそのあるがままのお姿を撮った。肩肘を張らない自然のままで良かったのだと思う。
何気ない所作の記録、それこそが遺産なのだと思いながら・・・。