[撮影四方山話] 活き活きとしたエイジド・クライマー
- オリジナル・シー・ヴイ代表の末次です。
ミズキの白い花が沢筋の斜面を覆い尽くしています。緑も徐々に色濃くなって来ました。
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<目次>
1.[撮影四方山話] 活き活きとしたエイジド・クライマー
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品 →「大堂海岸・モンキー正面壁」
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1.[撮影四方山話] 活き活きとしたエイジド・クライマー
近年、エイジド(高齢者)・クライマーが増えて来ています。定年を迎えてから、クライミングを始める方も少なくありません。
クライミングはテニスなどの他のスポーツに比べて、敏捷性を必要としているわけではありません。どちらかというと、体のバランスと持久性が問われます。
これらはお年を召されてからでも、トレーニングをすれば十分に養うことが出来ます。
「もう年だから出来ないよ」というのではなく、「年をとってもやれば出来るんだ」というところが、エイジド・クライマーがクライミングの虜になるところではないでしょうか。
また、クライミングに対する周りの環境も随分と変わって来たように思います。
20年前は、クライマーと言えばアウトローのイメージがあり、ケチで汚く自己中心的というところがありました。
しかし、今は岩場の地元の山岳会やグループなどを中心に、岩場付近の定期清掃を行っています。岩場近くの駐車問題が発生すれば、日本フリークライミング協会の方々が出かけていって、地元の方から苦情を聞き対策を協議して、定期刊行誌などを通じてクライマーに注意を喚起するようなことも行っています。クライマーのモラルも随分と向上しました。
そして、女性のエイジド・クライマーが増えてきたこともあって、ウェアなどがファッショナブルになって来ました。クライマーはクールと言われる時代もそう遠くはありません。
また、エイジド・クライマーが岩場へ行くときに、地元の旅館や民宿をよく使います。地元の方々にお金を落としていくわけです。以前は粗末であった食事の質が段々と良くなり、良くなるからこそ、また、クライマーが利用するという好循環が生まれています。
今や地域の観光課は、クライマーの動向を知ることが新しい需要を掘り起こすことだと徐々に気付き始めています。つまり、岩場が観光資源になるということです。
活き活きとしたエイジド・クライマーがこれからの新しい日本を作っていきそうです。
2.先月のイチオシ!! ビデオ作品
作品名「大堂海岸・モンキー正面壁」
制作 FTG
作品時間 54分
大堂海岸の写真をインターネット上にアップしたとき、米国の友人から「日本にそのような岩場があるのか」とメールが来た。日本の岩場をよく知っている彼にとっても衝撃だったに違いない。
大堂海岸は、高知県足摺岬の更に西に位置している。南向きに断崖絶壁がそそり立っており、その先は柏島である。
正月に横浜を出発するとき、ここ大堂海岸は伊豆半島の城ヶ崎のようにポカポカで暖かいのだろうと予想していたが、まったく当てが外れた。
シベリア寒気団から吹く北西風は中国山地と九州山地の間の関門海峡をすり抜け、豊後水道を通って、この柏島に吹き付ける。柏島の民家では瓦が飛ばないように屋根全体をネットで覆っているところもある。私たちが宿泊した民宿も風が吹くと家屋全体が揺れている感じがした。
一方でここの海は豊かだ。かもめが無数に飛んでいるほど魚が豊富で種類も多く、釣りやスクーバダイビングを楽しむ人たちが多数訪れている。
しかし、クライマーはというと・・・。地元の人たちもあまりご存知ない。
この大堂海岸の岩場は無数のクラックが走っている。日本の岩場の中でもこのような素晴らしいクラックがあるところは少ない。最近はクラッククライミングを楽しむ方も徐々に増えてきているので、近い将来、このエリアにもクライマーがどっと押し寄せてくるに違いない。
オープニング映像はこちら。