作品名「前穂高岳屏風岩 雲稜ルート・東稜」
制作 Original CV
作品時間 44分- アルパイン・クライミングはその困難な状況に打ち克つことが最大の醍醐味であり、多くのクライマーを虜にするものであるが、その一方で、常に危険を伴う。
クライマーはその危険を最小限に止めるべく、綿密な計画を練り、訓練によって的確な状況判断を学ぶ。しかし、山という現場に行って、危険を最小限にする最も重要なことはスピードである。
つまり、危険なところに行くのだけれども、そこに長居をするのではなく、スピードを生かしてさっさと通り抜けてしまうのである。
今回、同行して登った前穂高屏風岩・雲稜ルートもすごいスピードだった。
陽が昇ると同時にT2の取り付きから登り始めたが、雲稜ルートの終了点に着いたのは10時半頃だった。
今回リードしたKさんは言う。
「考えるから登れないんだよ。何も考えずにさっさと登ってしまう。」
このように言い切るクライマーもなかなかいない。Kさんはやはり長嶋茂雄さんのような才能を持っているんだろう。常人にはわかりずらい。
確かに、ああでもない、こうでもないと悩んでいるよりはエイヤッと行ってしまった方がよいときもあるが・・・。
というわけで、あまりに早く雲稜ルートを登ってしまったので、余る時間を東稜の登攀に費やそうということになった。結局は東稜の2ピッチまでを登ってしまった。
クライマーもいろいろな個性も持つ人たちがいる。だから、ますますこの世界が面白いと思うのだ。 - メールマガジン No. 112 2012-12-01