作品名「海金剛 SUPER RAIN」
制作 Original CV
作品時間 21分- 桜の花びらが散る頃に、西伊豆・波勝崎にある海金剛SUPER RAINを登って来た。
日本では珍しく最初から最後までクラックで、かつ、フィンガーからワイドまで多彩なクラックを楽しめる好ルートである。クラック好きのクライマーならば、一度は登っておきたいルートのひとつに違いない。
1p目。ナッツを決めてから右へトラヴァースするが、プロテクションが取れずにランナウトするので恐い。私たちは一段上がってから慎重にハンドトラバースした。
4p目。ここがルート全体の核心であると思う。前回、私はレイバックで越えたが、クラックの師匠であるFさんは両手の手のひらを壁につけ、指先だけをクラックに突っ込んで登った。手のひらと両足先は前面の壁を押し、指先だけが反作用で決まっているのである。フィンガージャムの応用というわけだ。
「へー、そんな登り方があるの?」
というわけで、今回は師匠を真似てこのムーブをやってみた。ピタリと決まった。レイバックよりも安定していて、ずっとよい。クラックテクニックは自己流でやらずにプロのインストラクターにきちっと習った方が安全であると思う。
その後、私たちは正規ルートから外れてしまったが、なんとかピークには達することができた。これもアルパインクライミングならではのことだと思う。初めてトライする人にとって、ルートファインディングは非常に難しいのだ。
でも、安全に登り、安全に降りてくるという基本は変わっていないので、めでたし、めでたしなのだった。 - メールマガジン No. 120 2013-08-01