作品名「ふるさとの祭り ~平成二十五年歳神社大祭~」
制作 福岡県男性
作品時間 43分- 初夏に1本の電話がかかって来ました。
「私のふるさとの祭りを撮影してくれないだろうか。」
ふるさとを後にし、都会に出てきて60年。しかし、ふるさとのことは忘れず、毎年帰省されていたとのことです。今年は節目の年であるので「ぜひとも」というご依頼でした。
ふるさとの祭りが行われる場所は大分県竹田市古園地区。
北西に九重山、西に阿蘇山、南に祖母山と三方を山に囲まれた小さな地区です。
高速を降りたバス停で、出迎えにいらしてくれた地元の方の車に乗り換えました。国道442号から竹田方面へ走り、1本の小さな道路を南へ入っていくと驚きました。
この山間に、延々と続くこんなに美しい棚田が整備されているとは・・・。
そして、ここの最大の特長は湧き水が豊富で、それを水田に使用していることです。蛇口をひねってコップに1杯とり、ぐっと飲み干すと「うまい」と声を出してしまいます。
そこに居合わせた地元の方からポツリと一言。
「その水でトイレも流しているんだよ。」
私は思わず、「もったいない」と言ってしまいました。
さて、今回、この地区で行われる祭りは「歳神社大祭」です。この地区にある歳神社で行われるから、この命名となっていますが、内容はお神楽です。
それもそのはず、ひとつ山を南に越えれば天孫降臨の地である高千穂があるわけですから。
昼過ぎから夜中まで延々と歌い踊り続けるお神楽ですが、ひとつひとつの演目には神様への願いが籠っています。
「柴引」は鬼が出て来ますが、この鬼に抱かれれば無病息災が叶います。都会に出ている孫やひ孫たちを呼び寄せて、鬼に抱いてもらいます。
また、「綱伐」は演者が真剣で綱を切れれば五穀豊穣となります。演者は10分ほど舞台を舞い続けた後に、真剣で綱を切らねばならないのですが、さすがに踊り疲れています。「頑張れ、もう少しだ」と声援が飛びます。
そして、最後に、綱への一振り。
ところが、綱が切れません。何度も切るのですが、なかなか綱が切れません。地元の人たちも2-3人出てきて手伝います。
「研がな、あかんど。研がな・・」
ここには代々伝わって来た、ゆったりとした大きな時の流れがありました。
美味しい水、美味しいお米、体の芯からあたたまる温泉。私自身が心から癒される撮影の旅となりました。
<<お客様のご感想>>
「ふるさとのおまつり」にはありがとうございました。
今年は私にとって思い出深い年でもあります。戦後70年~北九州在籍60年~退職20年。
まだまだ、人生はこれからが勝負。楽しみたいと頑張っております。 - メールマガジン No. 123 2013-11-01