作品名「平成25年合唱コンクール ***中学校」
制作 神奈川県***中学校PTA
作品時間 142分- 一昨日まで晴れと予想されていたその日の天気は、早朝からぽつぽつと小雨混じりになっていました。
しかし、合唱コンクール開場時刻2時間前の会場はすでに凛とした緊張感が漂っていました。午後に演奏する吹奏楽部の生徒の皆さんは楽器の音の感触を確かめるために、がらんとした会場で音を鳴らしています。
開演時刻が近づくに連れ、準備されていた席が埋まり、開演のあいさつが始まるときにはすでに100名以上の保護者の皆さんがいらしていました。そして、この後、近くの小学校の児童も大勢やって来ました。
これだけでも、この中学校の合唱コンクールがこの地域の中で根付き、そして、魅力のあるものになっていて、多くの人の心を癒し続けている結果なのではないかと思います。
いよいよ自由曲の発表がクラス毎に始まりました。男の子はちょうど声変わりがする頃なので、音をあわせるのは難しいと言われます。それでも1年生、2年生、3年生と進んでくると、ひとつの曲に対する一人一人の理解が深まり、そして、それをパートで、そして、クラス全体でひとつの形として創り上げる表現が熟成し磨かれているように思いました。
それぞれのクラスが歌うそれぞれの曲にそれぞれの色と形があり、視聴者はご自分の中の経験に照らし合わせながらそれらを楽しむことが出来ます。
午後の部では職員の合唱があり、会場は生徒さん達の熱狂の渦に巻かれました。
そして、最後に吹奏楽部の発表会です。この中学校の吹奏楽部はその地域で金賞を受賞しているだけあって、相当にレベルが高いのです。
もちろん、吹奏楽部ですからたくさんの金管楽器があるのはわかりますが、私が目を見張ったのは打楽器でした。大小の太鼓は言うまでもなく、ドラムがあり、そして、中学校レベルでティンパニがあるのに驚き、最後の留めは銅鑼があることでした。プッチーニのトゥーランドットやヴェルディのアイーダだって出来るんじゃないでしょうか。
この吹奏楽部が奏でる音楽によって、会場全体が歌い、踊って、最高に盛り上がり、そのムードに酔いしれました。
最後に合唱の担当の先生から講評がありました。
「音楽というのは目に見えないですし、形にも残りません。CDやDVDには音として残せますけど、そのときの体で感じた感動とか、空気の振動とかは2度と味わえないので、ぜひ、今日のこの想いを心にしっかりと刻んで欲しいなと思います。」
まったくその通りです。今回制作したDVDは4.7GBという記憶容量の中に合唱コンクールの映像と音声を圧縮して入れ込んでいるだけです。
このDVDで見れるものは、当日起こったことの100分の1、1000分の1以下に縮めたものでしかありません。だから、生徒の皆さんがこのDVDを見るときはこれをトリガーにして、自分がそのとき感じたものはこの100倍も1000倍以上も凄いものだったんだと思い出していただければ、編集者冥利に尽きるというものです。 - メールマガジン No. 124 2013-12-01