作品名 「平成26年クリスマスお楽しみ会」
制作 ***保育園
作品時間 105分- 冬の朝陽が上るのは遅く、辺りがようやく明るくなってきた午前7時前に、私は会場に着いていました。
向こうからチャリンコを一生懸命にこぎながら保育園の先生がやって来ました。
「遅くなって、すみません。」
ピッタリ7時でした。バッグの中からジャラジャラと鍵を取り出し、その中のひとつを抜き出して、会場となる扉のシャッターを開けました。
会場に入るとすでに準備は万全に出来上がっていました。先生にとってはこんなに早く会場入りする必要はなかったのです。私が9時開演の2時間前に会場入りしたいとお願いしましたから、それに合わせて早くいらして下さったのです。
申し訳ないなと思いつつも、普段やっている撮影の手順通りにやらないと何か落ち付きません。本日のプログラムで展開されるだろう構図を想定しながら、固定カメラをひとつひとつ設置しました。
映像素材となる撮影を終えた頃には、もう開演の時刻も間近に迫っていました。
プログラムは2部構成です。1部は0歳、1歳の顔見世公演、2部は2歳から5歳が出演する合唱やオペレッタです。メインは2部ということで会場も満席となり熱気がすごいというお話を伺っていました。
1部を無事に撮り終えて、2部の開場を待っていました。2歳から5歳の園児たちは保護者の皆さんと一緒に会場に来て、集合時刻になると園児たちはステージの裏にあるバックヤードに集まるという段取りになっています。
先生との事前の打ち合わせで、園児たちが集まってくるシーンをバックヤードの前で撮影して欲しいということでしたから、そこに待機していました。
実を言うと、私はなぜそのシーンを撮らなければいけないのかがわからなかったのです。プログラムの内容はすべてステージの上で行われるので、園児たちが集まるバックヤードのシーンは補助的なものに過ぎません。
集合時刻になりました。先生からバックヤードに集まるようにアナウンスされると園児たちが集まって来ました。
それがすごいのです。みんながみんなと言ってもよいほど、保護者の皆さんの手を離れた園児たちはバックヤードの前に待っている先生の懐に全速力で飛び込んできます。それも満面の笑みをたたえ、目をキラキラとさせて、今日会えるのが嬉しくて嬉しくてたまらないといった感じで・・・。
先生の懐に飛び込んで来たマセタ女の子は先生に言いました。
「今日、先生、お化粧してきたでしょ!!」
先生でありながら、友達でもある。
バックヤードを見ると座っている男の先生の両膝に二人の園児が乗り、先生の頭の後ろからもう一人の園児が飛び乗っています。まあ、なんと仲の良い先生と園児たち。本番前の緊張感なんて、どこ吹く風です。
プログラムの最後は園長先生も含めて先生全員と園児たち全員でアラシを踊りました。こじんまりとした保育園の心温まるクリスマスお楽しみ会も保護者の皆さんの喝采の拍手を浴びながらお開きとなりました。 - メールマガジン No. 137 2015-01-01