作品名 「Aさんをねぎらう会」
制作 Original CV
作品時間 25分- 「こんちわー。今日は宜しくお願いしまーす。」
13時にいつもお世話になっている中華料理店のドアを開けて中に入ると、店長自ら出て来て、
「今日、どうする? テーブルを部屋の真ん中に設置あるね。」
と、自らテキパキと動き、使わないテーブルは部屋の隅へ、そして、本日の参加者12名分のテーブルは部屋の真ん中にドンと設置しました。
今日は14時ー16時までこの中華料理店を貸し切って、Aさんをねぎらう会を催すのですが、入って来た瞬間から店長の気合いの入り方が何かしら違う・・・。
「スクリーンはこっちの窓のある方がいいあるよ。プロジェクターはどこ? エッ、こんなに小さい。前やった学校の先生のときはこんなに大きなプロジェクターだったよ。」
と、お腹を抱えるような仕草をします。
確かに、私も一抹の不安がありました。今日持ってきているモバイル・プロジェクターは手の平に載るほど小さいのです。果たして、これで十分な輝度が取れるのか?
でも、何も考えてないわけではないのです。映像をきちんと見るためにはコントラストが必要ですが、コントラストというのは光のS/N比なのでシグナルが小さくても、それ以上にノイズが小さければコントラストは高くなる。つまり、光のノイズを抑えて、部屋を真っ暗にすればいい。
そこで持ってきたのは畳六畳ほどの暗幕3枚とスクリーン用の白布1枚。
暗幕1枚を二つ折りにして窓にぴったりと当てて、外光を遮断します。それでも光が漏れ出て来るので、さらにその上に暗幕1枚を横一杯に広げて張ります。その上にスクリーン用の白布を横一杯に広げて張る。
そして、側壁の窓も3枚目の暗幕を二つ折りにしてピッタリと当て光を遮断しました。ほぼ想定通りに部屋は暗くなりました。
モバイル・プロジェクターをスクリーンに向けて照射すると、その壁一面に映像が映し出されました。これだけの迫力があれば十分!
さて、参加者全員が集まったところで挨拶。
「本日はお忙しいところ・・・。Aさんは誰もがやりたがらない、面倒な手続きをひとりで長い間やって来られました。Aさんは引退するということですので、ここにAさんをねぎらう会を開催します。」
感謝状が読まれ、花束が贈られました。美味しい料理と美酒に堪能したところで映写会です。
10数年撮り続けて来たAさんのクライミング映像を約10分にまとめたものを上映しました。沢登りあり、スポーツクライミングありですが、豪快に落ちているシーンもあるので、大画面では迫力満点です。
店長もご覧になられていて、「このシーン、スマホで撮っていい?」と店長にとっては珍しい沢登りのシーンにご満悦でした。
最後に、Aさんから謝辞をいただいてお開き。
「このような会ならば、順番を決めて、ひとりひとり、ねぎらう会をやればいいんじゃないの?」と参加者の一人が発言・・・。
さて、次はあるのだろうか。 - メールマガジン No. 155 2016-07-01