作品名 「Happy 60th」
制作 東京都女性
時間 85分- ここはオーストラリアのゴージャスなリゾートビーチの高層マンションの一室。
夜になると、雲間から漏れ出て来た月の明かりが夜の海をキラキラと幻想的に照らし出しているのが見えます。
日本から、そして、海外で生活している家族が一同に、ここに集まって来ました。
その目的はママの還暦祝いです。
その当日、朝からその部屋は還暦パーティのために、様々に飾り立てられていきました。
大きな壁一面に紙の花で描かれた「60」という数字。食卓には手彫りでデザインされたワイングラス。そして、言うまでもなく地元で獲れた海老、かに、様々な魚介類やサラダがところ狭しと並べられています。
さあ、乾杯でスタート。食が進んで一息ついたところで、余興が始まりました。
孫3人による「MAMA 60th」の合唱です。楽譜を見るでもなく、すべて暗記するほど孫たちは練習を積んで来たのです。これにはママも湧き出してくる感情を抑えることが出来ませんでした。
歌い終わると、ママは孫3人に駆け寄って、一人一人ハグをしていきました。それが終わると、今度は息子、娘たち全員を一人一人ハグしたのです。
最後に、パパからの手紙がパパ自身によって読まれました。
「ママ、還暦おめでとう。ママの夢だった、仲の良い大家族が出来たのは、それを望んで努力してきた結果です。そして、その皆が笑顔なのはこれ以上のない幸せです。
ママの望まなければ得られないというポジティブシンキングの実証で、二人で歩いて来た40年の結晶です。
・・・・
還暦を迎えてのママへのお願いはこれまで通り、皆の輪の中心にいながら自分のために人生を楽しんで下さい。本当にありがとう。」
全員からママに対して、おめでとうの言葉が贈られました。
今度はママが皆に対してお礼のスピーチをする番です。壁に描かれた60という数字の前に立ちながら、
「どうしよう、・・・、あー、どうしよう。」
すぐには言葉が出て来ません。
「ありがとう、本当にありがとう。皆、優しいから・・・。ありがとう。・・・
本当にこんな素敵な日をありがとう。」
海外で生活している娘からポツリと、「覚えたての日本語みたい・・・。」 - メールマガジン No. 161 2017-01-01