作品名 「7人の高校生と越えたカランバール峠(4,343m)」
編集 Original CV 制作・著作 神奈川ヒマラヤンクラブ
作品時間 78分- 人にはどうしても残しておかなければいけないものがある。
時間は一様に流れているように見えて、実は濃淡がある。私たちの記憶に残っている大切な想い出は濃い時間のとき、そして、忘れ去ってしまっているものは淡い時間のときだ。
1995年、7人の高校生を含んだ神奈川ヒマラヤンクラブ19名の隊員は第3次のパミール踏査に出かけていった。
代表である故広島氏はこの踏査の目的を大きくふたつ語っていた。ひとつはギルギットからイシュコマーンを経てカランバール峠に達する探検の空白地帯を埋めること。そして、もうひとつは16歳から65歳まで参加した隊員たちの生涯スポーツ、生涯学習の材料とすること。
氏は今より10年前にこれから迎える長寿社会(高齢化社会)に向けて、その生涯学習の場として、この踏査を意味づけていたのである。
ギルギットからイシュコマーンへ向かう道は土砂崩れにより漸くジープが通れるような悪路。ジープを捨て、ポーターを雇ってから本格的な山旅が始まった。氷河から溶けて流れてくる冷たい川を腰から胸までつかりながら何度も渡渉を繰り返す。クレバスをもつ大きな氷河を高巻き、或いは、越えて、とうとう最高点のカランバール峠4,343mに達した。
最初は人見知りしていたポーターたちとも徐々に慣れ、輪を作ってコミュニケートし始めた。途中、病人が発生するトラブルが起きるが、隊員やポーターたちは一致協力して難局を切り抜けた。
最後にポーターたちと別れるとき、隊員、ポーターそれぞれがひとりひとり両頬を合わせて抱き合い、この山旅の感謝の気持ちをお互いに伝えた。ポーターたちの姿が見えなくなるまで見送る隊員たちの姿に、この踏査の目的が十分に達成されたことが投影されていた。
故広島氏が残してくれた大切なものを忘れないためにも、10年たった今、この踏査のビデオテープは編集されたのである。
DVDを購入ご希望の方は、神奈川ヒマラヤンクラブ(尾上弘司 様宛spantik@nifty.com fax:0465-81-1089)までご連絡ください。 - メールマガジン No. 20 2005-03-01