作品名「生徒のビデオレター」
撮影 栃木県 男性
作品時間 13分 (テープ録画時間 58分)- 昨今、教師という職ほど難しいものはないと思う。不登校、学級崩壊、学力の低下等々、新聞紙上を賑わす言葉は、日本の将来を託する子供達は本当に大丈夫なのかと思ってしまうものばかりだ。
ここに紹介する作品はこのたびご結婚される先生のはなむけとして、生徒さん達が自ら演じたメッセージを先生に送るものだ。
メッセージを送るグループは二つある。ひとつは学力トップの予備校の生徒さん達、そして、もうひとつは普通の女子高の生徒さん達。
前者は話す言葉がカミソリのように切れる、これからの日本のトップとして嘱望される生徒さん達が作った放送仕立てのドラマだ。次から次へと話題を起草し、自らの演技でこなしてしまう様は小気味が良い。このすべてを1時間でやってしまったというから脱帽である。
後者はギャル語を話す今風の女子高生。字幕をつけないとおじさん達は何をしゃべっているのかがわからないのではないかと思う。
この両極端の生徒さん達双方から、先生の授業は「よい授業」と太鼓判を押された。学力の相当に違う生徒さん達それぞれからそれを言わせる背景には、教科力を挙げることも必要であるが、その前に教科を通じて論理的思考を教え、そして、生徒さん達に「生きる力」を教えようとするひとりの先生の強い生き方があるように思えた。 - メールマガジン No. 5 2003-12-01