作品名「*** と ***」
撮影・編集 Original CV 制作 福岡県女性
作品時間 53分- 10月18日午後1時過ぎ。福岡県北九州市にある**神社で、新郎新婦がおごそかに誓詞奏上をしているときだった。携帯電話の呼び出し音が粛々とした場の雰囲気を破った。
怒涛の結婚披露宴はこのときすでにその予兆があったのかもしれない。
結婚披露宴の式場は海の近くだった。外部の光が入ってとても明るく、多くの円卓で埋め尽くされていた。
新郎新婦入場の後、祝辞、乾杯がとり行われた。すぐに新郎新婦は退場した。その間、スピーチをする人の抽選が行われた。式場に来た人はいつ自分が抽選に選ばれるかわからないので、のんびり座っているというわけにはいかないのだ。
式場がカーテンで覆われ、照明が落とされた。そこに登場したのはなんとウェディングドレスをまとった新郎であった。新婦じゃないよ。新郎なんですよ!
ここまできたら、この後に準備されている数々のサプライズも驚かなくなる。
さて、ビデオカメラマンの私は、この珍しい披露宴をビデオカメラに収録していかねばならない。プログラムは予め渡されていたが、あまりの展開にカメラが付いていってない。大きな式場ということもあるが、隅に三脚を取り付けて狙っているだけでは迫力ある映像が撮れないのだ。そこでカメラを
手持ちに切り替えて新郎新婦を追うことにした。
立っていると見る人のじゃまになるので、しゃがんでローアングルで撮ることにした。
ところが、はちまきをしたちびっこカメラマン5-6人が徘徊しているのである。
プロのスチールカメラマンもいらっしゃるが、お互いプロ同士なのでお互いがじゃまにならないようにポジションをゆずりあったりする。
しかし、ちびっこカメラマンは情け容赦がない。こちらが構えているカメラの前に遠慮なく立ちはだかる。つまり、ポジション取りの仁義なきバトルが展開することになった。
次々とサプライズを起こす新郎新婦。そして、彼らを追うちびっこカメラマンとビデオカメラマンの仁義なきバトル。傍から見るとさぞかし滑稽であったろうと思うが撮っている方は必死なのである。
披露宴が終わると、どっと疲れが出たが、無心で撮ったという充実感があった。
新郎新婦が演じたパロディーとも言える結婚披露宴であったが、一方でそれを許容できる親族や友人がいることもすごいことだと思う。
そして、思ったことは「やはり福岡だな」ということだった。
福岡と言えば、博多どんたく、博多祇園、小倉祇園、戸畑ちょうちん山笠と祭りに事欠かない。会社の出世よりも神輿をかつぐことの方が重要という輩がいっぱいいるところだ。
福岡から芸能人をより多く生み出しているのはこういう土壌があるからに違いないと改めて感じたのだった。 - メールマガジン No. 63 2008-11-01