作品名「ガマルートに流れる風」
制作 Original CV
作品時間 48分- 長野県南佐久郡川上村に、廻り目平キャンプ場がある。
小川山の岩峰直下にあり、白樺に囲まれ、谷筋を流れる清水は千曲川に注ぐ。そして、標高1600m以上もあり、夏でも涼しい。近年、うだるような暑さの都会を脱出して、ここを訪れるオートキャンパーや家族連れも多くなってきた。
ここはもともと小川山を登るフリークライマーの聖地として発展してきた。スラブ、クラック、フェースと様々な岩場があり、ビギナーからエキスパートまで、いろいろなクライミングを楽しむことが出来る。
そして、その中でも人気のマルチピッチ入門ルートが、ガマルートなのだ。
お盆を過ぎた頃に、私達5人はこのルートを楽しんで登り、廻り目平のテント場に戻って来た。星空の下でキャンプ・ファイヤーを囲み、クライミング談義に花を咲かせながら、バーベキューとお酒を味わった。
ところが、標高が高いせいなのだろうか、お酒の酔いの回りが異常に早い。
突然、隣の男性クライマーが酔って前のめりにバタと倒れてしまった。もう一人の男性クライマーは1曲歌って欲しいと女性クライマーにせがんだ。そして、その女性クライマーは胸を張って「千の風になって」を清らかに歌い上げた。
キャンプ・ファイヤー、酔っ払い、千の風・・・。
この何とも不思議な組み合わせも、その場に居合わせた者にとっては心地よい空間と時の流れであったのだ。
そして、2010年の夏の1ページが1枚のDVDになり、私の映像書庫に加えられたのである。 - メールマガジン No. 86 2010-10-01