作品名「パパが残したモノ ~1992年から1997年までの記録~」
制作 神奈川県女性
作品時間 163分- 約20年前、パパは1台のビデオカメラを買ってきた。人はそれを見て21世紀のビデオカメラだね、と冷やかした。
パパは自慢のビデオカメラでいろいろなものを撮り始めた。家族の団欒、幼稚園学芸会、近くの動物園、山小屋、祖父母の来訪、成人式、友人来訪、誕生日、花見、水族館、釣り、運動会、水泳大会、スキー、卒園式、入学式、クライミング、七五三、バスケットボール大会・・・。
しかし、子供たちが小学校高学年になる頃から、ビデオカメラで撮影することは無くなった。その後、その撮影したビデオテープは見られることもなく、押入れの隅に埃をかぶったままになっていた。
そのパパは2年前に天国に旅立った。最近、ママが押入れを整理していると埃をかぶったたくさんのビデオテープが出てきた。ママは想い出の残るこのビデオテープを簡単に捨てるわけにもいかず、私のところへ送ってきたのである。
私は編集を進めていった。手振れしている部分、冗長な部分を取り除いて行くと、そこにはパパが撮りたくて仕方がなかったもの、パパが大切にしていたもの、そして、パパが純粋に愛したものだけが残った。
それは言うまでもなく、家族である。仕事一本の職人だったパパはあまり仕事以外の友人を作らなかった。その分、家族を大切にした。パパは自慢のビデオカメラで最も愛する家族の記録を永遠に残したかったに違いないのだ。だから、完成したこのビデオ作品は「パパの心の遺産」そのものなのである。
<< お客様のご感想 >>
今回は大量のテープを整理いただき、ありがとうございました。私には技術的にも、心情的にも(編集することが)無理でした。お蔭様で3年目にやっと主人と対峙することができるように思います。本人は撮影者なのでほとんど映って無いのですが、6年間が163分に凝縮されて当時が蘇りました。驚異です。本当に感謝します。 - メールマガジン No. 96 2011-08-01