作品名「第31回日本登山医学会学術集会」
撮影・編集 Original CV 制作 日本登山医学会
作品時間 11時間- 広辞苑で「学会」を引くと、「学者相互の連絡、研究の促進、知識・情報の交換、学術の振興を計る協議などの事業を遂行するために組織する団体」と書かれている。
これだけを見ると、学者間の身内で組織する「閉じた」団体と受け取れる。もちろん、これら一連の行動によって、輝かしい研究成果が達成されれば、その成果が社会に貢献することにはなるだろう。
さて、今回撮影をご依頼いただいた日本登山医学会様(以下敬称略)は上記のような「閉じた」団体というよりも、学者ばかりでなく社会や市民に対して「開かれた」団体であると感じた。日本登山医学会自体が直接的に社会にどのように貢献できるかを模索しているのである。
第31回の学術集会において、緊急ワークショップとして論議された「大地震でみたこと・できること」では、日本登山医学会が東北大震災直後に低体温症、感染症の情報を流し、マス・メディアに大きく取り上げられたことや、実際に北上町に派遣された医師からボランティア医療支援についての報告があった。
また、全医療機関が壊滅した南三陸町では災害医療がどのように行われたのか、そして、広域的な見地から、石巻圏内全域で医療支援の隙間ができないようにどのような医療体制を整えたのかをそれぞれ現地の医師から報告があった。
今後、甚大災害におけるモデルケースとなる貴重な内容である。
シンポジウム1「登山のためのトレーニング」は一般登山者の体力作りにすぐに役立つ内容であり、シンポジウム2「セブンサミッター医療関係者は語る」ではエベレスト公募登山における経験談が語られた。
次に示すように、その他の講演も興味のつきないものばかりである。
・特別講演「登山とセロトニン -登山は脳を活性化する-」
・ランチョンセミナー1「登山と水分・塩分摂取の最新の話題」
・ランチョンセミナー2「山中の蘇生例 新しい心肺蘇生ガイドライン2010とAED」
・教育講演1「睡眠時無呼吸症候群と登山」
・教育講演2「トムラウシ山遭難事故と低体温症」
そして、閉会後、市民公開実技講習会として、「救急蘇生法とAED」が多くの市民の参加の下に行われた。
今後も一般登山者や市民に開かれた学会として、日本登山医学会は発展していくに違いない。 - メールマガジン No. 97 2011-09-01