作品名「五郎舎のまろうど」
撮影・編集 Original CV 制作 FTG
作品時間 31分- 深田久弥は日本百名山に、「かつて千曲川の上流から信州峠を越えて甲州へ抜けた時、その途中から見た奇岩乱立の瑞牆山の印象が深く残っていた。おそらくその途中からの眺め、すなわち釜瀬川上流の黒森部落からの眺めが、瑞牆山の最も立派で美しい姿であろう。」と書いた。
五郎舎(ごろうや)はまさにその黒森にあり、立派で美しい瑞牆山を背景にどっしりと建てられた山里の宿なのである。周りは畑が広がり、ここで採れた新鮮な野菜が食事を彩る。昔の懐かしい風情がそのまま残っている。
その五郎舎にある日、数人の客人が訪れた。ウィークデイということもあって、五郎舎はその客人で貸し切った状態となった。夕食が始まり、お酒が入ってくると、宴が盛り上がってきた。そこで客人の一人が民謡を歌い始めた。屋根裏の太い梁がそのまま見える食堂はひとつの広い空間となっており、その空間に歌声が響き渡った。そして、そこに集う人たちの心の中にも染み渡った。あるひとつの空間、あるひとつの時間の中で、みんなで心をひとつにした貴重な体験だった。 - メールマガジン No. 98 2011-10-01